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日本語が話せる事と国語力はまた別の話「国語は勉強しなくても出来た」と言った大バカ者

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「国語と歴史は、勉強しなくても出来きました」
私が会社勤めをしていた頃、部下の中に、こんなふざけた事を言う大バカ者がおりました。
名前は仮に「#君」としておきます。
では、彼が、どれほど国語が出来ているのか?というと、からっきしで。
「後顧の憂い(こうこのうれい)」を「こうがんのゆうい」と読むし、「不朽(ふきゅう)」を「ふくち」と読む、
「三叉路(さんさろ)」は「二股に分かれている道だから、二叉路が正しい」という始末。
三叉路は、左右に加え来た道があり、三つの又(叉)があるから三叉路です。音の又だから音叉(おんさ)と言うが如し。
まあ「名作」を「なさく」と読まなかっただけでも、まだ良かったけど…
「全然、国語出来てねーじゃん」
会社は、雑誌の編集と制作をしておりましたから、この思い上がった国語力の低さは、笑い事ではありませんでした。
つらつら思うに、当時、彼のパソコンは、言葉を打ち込んでも、漢字に変換されない事が、多かったのではないでしょうか?
代わりに、あり得ない読みで変換される、漢字が多く登録されて行ったのではないでしょうか?
前述の「後顧の憂い」や「不朽」等は、単純に知識の問題なので、学ぶ事で解決できますが、良い年をして間違いが多いと言うことは、それだけ「国語に馴染んでこなかった」という目安でもあります。
(多少の思い込み、間違いは誰でもありますが)
彼の場合、自分は日本人で日本で育ち、日本語はしゃべられるから、
「国語は勉強しなくても出来ている」
と思い込んで居るタイプでした。
日本語は話す事は出来ても、国語を学ばないと、道筋を立てて話しをしたり、得た情報に対して、矛盾や疑問を感じることも不得手になります。
問題だったのは、本人にその自覚が無い事で、しかも、賢いと思われたい気持ちが、人一倍強いところでした。
他に、勉強しなくても出来たという歴史も、てんでなっていません。
ひとつ例を挙げますと、ある日、突然に、
朝鮮半島においては、近世に至るまで、統一国家は無かった」
と言い出しました。
「十七世紀位まで、新羅百済高句麗で覇権を争っていたんですよ」
と言います。
ああ、最近仕入れた知識に、間違って千年足しちゃったんだな。
直ぐ分かったので、
「それは、七世紀頃の話だから。秀吉の朝鮮出兵の頃は、既に李氏朝鮮で統一されてたろ?」(その前に新羅、高麗がありますが)
と返すと、
「ハハッ、チョウセンシッペイ(←既に言い方を間違っている。疾病じゃないんだから)ですか?」
奴は、笑いながら言うのですが、
「あ、コイツ分かってないんだな」
という事が分かります。
聞きかじった話を、無責任に繋げているだけ。
国語や歴史は、取っ付きやすい印象もあるので、出来ていると勘違いする人は、意外と多いものですけれど、現実は、勉強しないで出来るほど甘くはありません。
算数や数学でも、読解力がないと、問題の意味が分からない。
まるで全てが、引っかけ問題の様に見えてしまいます。
実際、引っかけ問題もありますが、国語力が無いと理解できません。
かくいう私も、倅の宿題を見ていて「あれ?どっちだっけ?」直ぐには解らなかった事があります。
掛け算の復習問題で、
2×3
という式があって、どちらが「掛ける数」で、どちらが「掛けられる数」でしょう?
という設問でした。
答えは、2に3を掛ける訳ですから、2の方が「掛けられる数」で3が「掛ける数」なのですが、一瞬迷いました。
ちなみに「掛ける数」「掛けられる数」を入れ替えても、答えは6に成りますが「何に対して、何を掛けるか」が理解出来ていないと、得られる答えの意味は全く違ったものになります。
「そんな、小さい事、どうでも良いじゃん」と思う人も居るようですが、この些細な事を放ったらかしにしていると、積み重なって、筋道立って物事を考えられない人になって行き、ものの見方も、狭くなって行きます。
余談ですが、日本語はどのみち話せるようになるからと、幼児期に、家庭内語を英語にしてしまう考えがありますね。
でも、これって、下手をすると、母語が二つになって、結果的に論理的思考が、低下するという、研究論文もあります。
どうしても、幼児期に英語漬けにしたいのであれば、母語を英語にしてしまい。英語を国語として学ぶ方が良い。
脳化学的には、母語となる言葉の周りに、はべらすように外国語を学ぶ方が良いとされています。
まあ、英語を母語に選ぶのであれば、無理に日本国籍である必要もないと思いますけど。
国語力を養うには、読書が基本です。
加えて、やはり、学校の国語をしっかりとやる事も大切です。
国語の授業の中には、そこまで文法をやかましく言わなくても…
という所もありますが、これは、詰め込み世代の私達だけが感じている事なんですかね。
因みに、その思い上がった部下ですが、国語が出来ていないだけに、ピタゴラスの定理平方根、立方根程度も、理解出来ていませんでした。
例えば、ピタゴラスの定理(日本や中国では「勾股弦(コウコゲン)の定理」と呼ばれていました)。
何かの仕事で、この定理を使う事になったのですが、ヤツの反応が鈍い。仕事が片付いて翌日、
ピタゴラスの定理って言っても、二等辺三角形だけじゃないですか」
と、したり顔(ドヤ顔)で言ってきました。
まあ、結果的に直角二等辺三角形の時もありますが、
「一応、調べたみたいだけど、ちょっと違っているぞ」
平方根、立方根も二乗、三乗のイメージが出来ていない。
基礎的な勉強を余りにも、おろそかにしているので、
「そんなに、賢いと思われたいのなら、きちんと基礎からやり直せって」
と言いました。
すると、彼は半日ほども経って、こう言い返してきました。
「僕は、小学校の頃、エリートで〝ああ、オレはこのままエリートの道を行くんだろうな〟と思ったらつまらなくなって、あえて、ドロップアウトした観があるんです」
ウソみたいな話ですが、本当にこう言いました。
その時点で、正直、もうどうでもいいや! と思ったのですが、一応、部下ですし、ちゃんと言った方が良いだろうと判断し、萎える気持ちをふるい立たせてこう返しました。
「…その話、余所ではするなよ。小学校であえて、ドロップアウトしたって威張っても、誰も恐れ入らんぞ。あー、この人はプライドは高いが、勉強について行けなかったんだ。と笑われるだけだ」
と言いましたが、解って貰えてはなかったと思います。
私だって、決して国語が出来ているとは申しませんし、生涯勉強だと思っておりますが、出来ると思い上がって、実は出来ていない事は、大変恥ずかしい事だと思います。
理数系の学者さんに、名文家が多いのを見ても、国語は基本中の基本である事は解ります。
くれぐれも、国語を軽く考えないようにして欲しいモノです。

余談になりますが、雑誌の編集や制作の仕事は、ある程度の常識(漢字の読み等)が必要で、それなりに簡単なテストもあったりするのですが、この男は、それをすり抜けて来たわけです。
確かに、インテリぶるだけに、妙に知的っぽい雰囲気はありました。元・明大教授だったK氏の所に出入りしていたと言うし、入社当初は私も、ちょっと賢そうに見えていたのも確かです。
K氏が衆議院議員に立候補した時も、ボランティアで選挙運動に参加したらしく、
「マスコミに学生に間違われましたよ」
と嬉しそうに言っていました。学歴コンプレックスは大変なモノでした。
基礎学力の低さからして、ひょっとして、高校も行ってないのではないか? と思ったものです。
しかし、あの頃にAI面接があれば、彼のような人物が紛れ込んでくることはなかったでしょう。でも、同時にヒューマンエラーがなければ、彼の様な人物にもチャンスは訪れなかった一面もあります。