総武線、成田エクスプレスでの出来事
倅は小さい頃、電車が好きで、私もよくママチャリの後ろに倅を乗せて、江戸川の総武線鉄橋に電車を見せに連れてったものです。
江戸川総武線の鉄橋ですから、電車も頻繁に通ります。電車好きだった倅も退屈しませんでしたが、私の田舎などは、一時間に一本しか走りませんし、時間帯によっては二時間で一本しか走りません。
亡くなった父が、孫(私にとっての甥)にせがまれて、よく鉄橋に電車を見に行っておりましたが、通過時間に合わせて出掛けていました。
しかも、一回勝負的な感じがあります。
「じーちゃん、もう一回見たい」
と言われると、大人である父は、
「いっぺん家に帰って、また、来よう」
と提案しますが、小さかった甥は、
「ここで待つ」
といって聞かなかったそうです。
まあ、子供の気持ちになってみると、解らなくもありません。仕方ないので、父は車で、山陽本線まで遠征する事もあったようです。
それを考えれば、東京界隈での電車観覧会は楽ですね。
倅が、一番好きだったのが、意外でしたが貨物列車でした。貨物列車は不定期(実際は不定期ではありませんが)だし、ちょっと見慣れない電車だったので、貨物列車が通ると、喜んでいました。しかも、機関車だけが走ってるときに出くわすと、大当たりみたいに、はしゃいでましたね。
次に好きだったのが「成田エクスプレス」。
「成田エクスプレス」在来線を走る高速列車。
成田空港から高尾・大宮・大船に向かう便があるようで、在来線を時速130キロで走っています。普通線路だと結構な速度ですよね。
「成田エクスプレス」
その頃の倅は、まだクチが良く廻らなくて「なぷたっくす」と呼んでいました。
成田エクスプレスが来ると、
「おとーさん、なぷたっくす！ なぷたっくす！」
と飛び跳ねていたものです。優しい運転手さんだと(大抵優しかったけど)、子供が手を振っていると警笛を鳴らしてくれたりしました。
ある日の事。
「ほら、ナプタックスが来るよ～」
と倅に教えると、
「ナリタエクスプレスだよ」
突然訂正されました…ホント、突然。
「おとーさん、知ってるよ、ナリタタ、えくすプレスだろ」
余りに、突然だった物だから、私もうろたえて居ると、倅やつ、
「言えてないじゃん」
だって。
「言えるって、本当は言えるよ。な・り・た・え・く・す・ぷ・れ・す…」
倅が「フッ…」と笑ったのを覚えています。
うちの子に限った事ではないでしょうが、子供って、急に言えなかったことや、出来なかったことが、出来る様なりますよね。
そういえば、初めて立ち上がった時も、立ち上がった後に、私を見て「フッ…」と笑いましたね。
江戸川総武線
