母親の言葉ほど、子供に影響力を及ぼす言葉はない「わしゃあ、優男じゃけーの」

母親の言葉ほど、子供に影響力を及ぼす言葉はない「わしゃあ、優男じゃけーの」

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児童にとって、母親の言葉は大きな影響力がある

高校時代の友人に、Wという男がおりました。
岩の様な顔したゴッツイ男で、見た目の印象に反してお勉強も出来、気の良い好人物でしたが、
たまに、
「わりゃ、脳に虫でも飼うとるんか?」(君、頭の中で虫を飼育してるのかい?)
と思うようなタワゴトを言います。
それが、見出しにある。

「わしゃあ、優男じゃけーの」

なのですが、もはやうわごとに近いモノがありました。
W唯一とも言える口癖で、
「お前〝優男〟の意味知っとるんか?」
と尋ねると、
「コクッ」
臆面もなく頷いたものです。

 やさ‐おとこ【優男】
 広辞苑によると…

①風流を解する男。みやび男。やさお。平家物語1「名歌仕つて御感に預かるほどの―」
②柔弱な男。
③風姿の優美な男。やさがたの男。

と、あります。全てにおいて、Wに当てはまりません。
しかしWは、特に③番が自分に当てはまっていると確信していた風がありました。
この、甚だしい誤解と自信は、一体どこから来るのか不思議でしたが、
ある日、Wの家に遊びに行った時に、彼の母親が、事ある毎に、
「あんたは、おとーちゃんに似て優男じゃけんねぇ」
と言って聞かせている。
「…これか…」
出された茶菓子を囓りながら、内心で思いましたが、
「おとーちゃんも、同じ顔してるんだ」
おとーちゃんも是非見てみたい。とは思ったのですが仕事で手掛けておられました。
結局、お父さんは見ることは出来ませんでしたが、母の言葉とは、そら恐ろしいモノです。
広辞苑の権威よりも、よっぽど説得力があるわけですからね。
洗脳って、善しにせよ、悪しにせよ、恐いものです。
成人してからのWの事は知りませんが、少なくとも、卒業するまでは、「わしゃあ、優男じゃけん」と言い張ってはおりました。(^^ゞ