丑年 「人はみな命を頂いて生きている」牧場でのアルバイト #牛 #牧場 #丑年

牧場でのアルバイト

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人はみな命を頂いて生きている

丑年 牛に纏わるお話③
高校生の頃、父の幼馴染が経営する牧場でアルバイトをした事があります。
牧場は、食肉牛専門の牧場で、仕事といえば、殆ど毎日、餌やり(配合飼料)と糞掃除。
牧草地帯がある訳ではなく、土地もぬかるんだ所の多い牧場だったので、乳牛牧場や北海道の牧場とは、趣も大部違った感じでした。
「牛」という動物は大変可愛いいもので、臆病なクセに好奇心が旺盛。
私が、手押し車を押して歩いていると、斜め後ろになんか大きな気配がする。振り向くと柵を隔てて、柵の中の牛が全部、後を付いてきていました。で、私に、振り向かれると、驚いて、後ずさりしますが、歩き出すとまたみんなで付いてくる。
牛舎に居る牛の世話をしている時も、私が背を向けていると、履いていたジーパンのお尻を舐めてくる。牛の舌はヤスリの様にザラザラしているので、舐められると、お尻が持ち上げられるように「バリバリバリ」と凄い音がしました。振り向くと、牛は驚いて首を引っ込めますが、手摺に角が引っかかって、難儀していたりして、可愛らしい。
毎日世話をしていると、本当に情が移ってきます。懐いてくるし、円らな目が可愛い。
牛も、成長と共に、クラス分けされる訳ですが、移動には専用のトラックが使われます。
クラス分けの時は、どの牛もおとなしく乗ります。しかし、辛いのは「出荷」の時でした。
牛も、自分の運命を敏感に感じ取るんでしょう。
「おかしいよ! おかしいよ! なんか、変だよ! 絶対おかしいって!」
そんな感じで抵抗し、乗ろうとしません。危険なので、高校生の私は基本、出荷は手伝わないんですが、本当に哀れな啼き声を出していたのが、今でも忘れられません。
食肉業者なので、殺戮を楽しんでいる訳ではないのはわかりますし、どんな生物も、生物である限り、他の生き物の命を奪って生きている事も分かっています。
米や野菜は、刈り取られる時も、脱穀されて炊飯される時も、泣いたり喚いたりしませんし(少なくとも人の耳には聞こえていない)、人間と、かけ離れ居てるから、憐れむ気持ちも、希薄になりますが、やっぱり命を頂いている事には変わりない。
だから、日本では食事の時に、
「(命を)頂きます」
という、感謝の言葉を口にするわけです。
しかし、理屈では分かっていても、少年だった私は、涙が止まらず、俯いて泣いていました。
余談ですが、昔は「屠殺」と言いましたが、「屠」(ほふる)「殺」(ころす)が表現として酷い、という事で現在では「屠畜」といいますね。
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