小学生の【理科】外来生物「繁殖干渉」のお話 #外来種 #生物 #マムシ #菜の花 #タンポポ

小学生の【理科】外来生物「繁殖干渉」のお話

菜の花

私が、ちょいちょいサイクリングで出掛ける「江戸川」サイクリングロード。
盛りは過ぎたとはいえ、まだ、沢山の花が咲いていました。
ソメイヨシノなどの、桜よりも早くから花を結んで、四月の下旬の今でも土手に咲いています。
しかし今、この菜の花の群生が、「堤防の破壊に繋がる」という、大きな問題になっているそうです。
河川敷等に、多く咲いている「菜の花」。日本在来種かと思っていましたら、実は、これも大半は「セイヨウカラシナ」という外来種
在来種に比べて繁殖力が強く、しかも、根が太くて、深さもあります。結実して来年の種をバラ撒き終わると、やがて、枯れて、腐って行きます。すると、それを求めてミミズが大量発生。根の跡も大きな空洞になる上に、今度は、そのミミズを求めて、土竜モグラが大挙やって来ます。
モグラが土を耕すので、結果、堤防の強度が失われ、大水の時に決壊しやすく成るという訳です。
在来種の絶滅を防ぐ意味も含め、「セイヨウカラシナ」の採取、移植は原則禁止になっているそうですね。
しかし、これは、「セイヨウカラシナ」が悪いというよりは、人間に不都合な生態系の循環が行われている。という様な気もします。

在来種は何故、いつも絶滅の危機に見舞われるのか

何故、外来の植物はそんなに繁殖力が強く、在来種を駆逐して行くのでしょう。
外来の近縁種が入り込み、在来種が絶滅の危機になっている植物は沢山あります。
有名な所では「たんぽぽ」。西洋タンポポが入り込んで来てから、日本タンポポが駆逐され、現在では殆ど絶滅状態ですね。
何故、こんな事が起きるのかと言うと、「受粉」(メジべに花粉が着く状態)の仕組みに違いが有ります。
花のメシベは花粉が着くと、もう他の花粉が着かない様に、「受粉管」という物を閉じてしまいます。
日本タンポポの花に、近縁の西洋タンポポの花粉が着くと、受粉管を閉じてしまうのですが、遺伝子的に微妙に遠いために、種が近いとはいえ結実出来ません。
結果、日本タンポポは受粉しても、子孫が残せず、その数を減らしてゆく訳です。
「しかし、それでは西洋タンポポも同じ事ではないか」
という疑問が残りますね。
タンポポに限らず、大抵の植物の花は複数の受粉管を持っています。日本タンポポの場合、そのどれかが受粉してしまうと、全ての受粉管を閉じてしまいます。
西洋タンポポも、日本タンポポの花粉が着けば、受粉管を閉じますが、受粉していない他の受粉管は開いたまま。開いた別の受粉管に、同種の西洋タンポポの花粉が着けば、結実できる仕組みになっています。
西洋タンポポも日本タンポポを駆逐する意思はないかも知れませんが、この生き残り戦術の差が、結果的に日本タンポポを駆逐してしまっている訳ですね。
他の種の受粉を阻害している。これを「繁殖干渉」と言います。
タンポポの他にも、「イヌノフグリ」等も、外来種オオイヌノフグリ」に同質の繁殖干渉を受け、絶滅の危機に瀕しています。

在来種が絶滅するのは悲しいけれど

受粉管「進化の敗北」とも言えるかも知れません。

他の外来生物いくつか

ウシガエル
テレビ東京の「池の水全部抜く」等で、取り上げられる外来生物の中に「ウシガエル」がおりますが、このウシガエル、一頃よりその数を減らしているような気がします。
私の田舎でも、かつては水田から、それこそ牛の合唱みたいに、大きな鳴き声がうるさかった物ですが、ここ、十数年位前から、余り見かけなくなりました。
カミサンの実家近くの水田でも、昔ほど、ウシガエルの鳴き声はしなくなった気がします。
理由は分かりませんが、ウシガエルに関しては、その数を減らしいてるように思いますね。
カダヤシ
私が子供の頃、「ボウフラ」退治に、として、日本各地、あちこちの用水池にカダヤシを放流していました。
カダヤシとは、メダカの仲間で、アメリカから輸入されたメダカです。別名「タップミノー」
蚊を絶やしてくれると言うので、和名がカダヤシとなりました。
カダヤシも、日本に繁殖を広げていると聞きますが、昔に比べて、かなり数は減って来た様に感じますね。
カダヤシはメダカの仲間ですが、日本のメダカと違って、卵を産みません。
メスは体内で卵を孵化させ、直接稚魚を放出します。
これを「卵胎生」といい、天敵に食べられてしまう確率の高い、卵で産み落とすより、種の生存率は高くなります。ですから、卵を産み落とす日本のメダカは、駆逐されると考えられています。
しかし、個人的には、「水田」や「溜池」「分水池」等の減少と、それらのメンテナンス不足が一番の理由ではないか? と思っています。
卵胎生
卵胎生は、魚類、爬虫類の大きな進化のひとつですが、毒蛇のマムシ等も、卵胎生です。
卵ではなく、母親の体内から直接産まれてくるので、昔の人は、「マムシは母親の腹を食い破って生まれてくる」と思い「業」の強い人を「マムシの何々…」と渾名したりしました。
マムシ属の全てが卵胎生ではなく、同じマムシ属の、ハブは、卵を産みますね。
あと、サメの仲間も卵胎生が多いですが、ネコサメ等は、螺旋状のちょっと変わった形の卵を産みます。

ネコザメの卵は面白い形をしている

マムシ
因みに、マムシは蛇の中で、最も進化している種と言われています。
先ず、体長が短く、大きくても精々60㎝程度。身体がコンパクトな分、必要とするエネルギーも少なくて済むと言われています。
「毒」
マムシの毒は、所謂「血管毒」で、咬傷から毒が入ると、まず、血管壁を壊され、血管から漏れた毒によって筋肉組織が破壊されてゆきます。コブラ毒の様に、血管を伝って神経を破壊してゆく「神経毒」と違って、痛く苦しみます。
同量であれば、ハブの毒より強く、一回に使われる毒の量は少ない。これは、獲物となるネズミ等を殺し、消化しやすく分解できれば良いわけで、大型獣を殺す程の毒を出す意味が無いから、とされています。
加えて、卵胎生で、産み落とされた子も、既に15㎝~20㎝あるので、生存する確率はうんと高くなるわけです。
しかし、毒の量が少ないからといって、人体に安全という訳ではありません。マムシ毒に咬まれて落命される方も居ますし、落命せずとも、一年ばかり寝たり起きたりした後に、生活が困難になり、永く後遺症に悩まされたりしますので、畑や河原、山野での遊びでは気を付けましょう。
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