嗚呼七十代

住んでいる集合住宅の、色々な役員が回って来て、公私共々忙しい毎日を過ごしております。
我が住まいの理事長は七十代という事もあってか、理事会では何時も話が長いです。
まず、「前号までのあらすじ」みたいに、前回の理事会の話をなされますが、「あらすじ」というよりも、まるまる一本、本編を見さされている感じになります。
なんなら、デレクターズカットされている分、長目なお話になってたりね。
「理事長、それ、前回、これこれこうなって解決しませんでしたっけ?」
私を含め、他の理事から指摘が出ますが、
「それは解ってるんだが…」
兎に角、説明しないと気が済まないらしい。
しかも、割と、前回の解決を忘れてしまって、また議題に上げたりする事もあります。
さらに、役員の一人に七十代の女性が居られて、この方がまた、意見を言う時に、延々とご自身の半生を語り始めたり致します。
「Rさん…それ、今、関係なくないですか?」
と言うと、
「いや、関係あるのよ」
と譲らない。
んなもんで、我らが理事会はいつも長丁場。エコノミー症候群になりそうな位、座らされています。
そんなある日、事件が起きる
マンション内の修繕に訪れた業者さんが、通用口からの出入りの為に、自動施錠されない様、鍵穴にテープを貼ったまま、帰ってしまいました。
「通用口が閉まらない様に、誰かがテープを貼って居る」
居住者から通報があって、防犯カメラで確認をすると、テープを貼ったのは修繕業者さんである事が解りました。
テープを貼る事自体、防犯上、やってはならない事ではありますけど、この行為に、
「また、戻って来て泥棒でも働こうとしたんじゃないか」
理事長が激怒。
しかし、修繕当日は、エントランスから帰って行き、退出時の現場写真のタイムテーブル等から、テープを剥がし忘れたのであろう。という事が一応確認されました。
理事会的には、「もう二度とこう言う事は、なされないように」だったんですが、理事長は、この一種のアリバイ(?)成立が理解出来てない様子でした。
RさんはRさんで、「もう許してあげなさいよ」業者さんを庇うのですが、どうして「剥がし忘れたと言えるのか」までは理解出来ていない感じでした。
まあ、その他理事としても、その後、マンションに舞い戻って来た様子も無かったし、「少なくとも悪意はなかったのではないか」という程度の証明でしかありませんでしたけど。
七十代は高齢認知症との狭間とは言いますが
レジ袋が有料になった事や、その経緯が理解できない。簡単な機械操作が面倒になる。釣銭など計算が面倒で、兎に角、大きいお金で支払いたくなる。年下の大人に対して敬語が使えなくなる。等々。
七十代になると、頭の固くなる人と、そうでない人に分かれるそうで、七十代で頭の柔軟性を維持しておかないと、八十代から本格的にボケる確率が上がるそうですね。
余談なんですが
ある、車好きな男性が、何台も高級車を買いたいものの、駐車場に困り、考えた末に、商行施設の「二時間無料駐車場」を利用する事を思いつきます。
一台止めては、徒歩で戻り、また一台止めては徒歩で戻る。
最後の一台だけ自宅の駐車場に止め、「今日は、○○車の気分だな」と言う時は、二時間無料の駐車場まで車で行って、入場チケットを受け取って入り、直ぐ、別の車に乗り換えて出ていくものですから、二時間以内に出て行った事に成ります。
これで、延々無料駐車が可能になる訳です。
男性は、この手口で何か月か、違法に駐車場を利用しておりましたが、七十代の中には、このトリックをお話しても、理解できない方が、ぽつぽつ、いらっしゃいます。
因みに
この犯行に気づいたのが、施設駐車場の監視員さんでした。
「ドライバー」と言うものは、意外に顔を見られているもので、街を歩いていても、すれ違う車のドライバーが、一体、何処に注意を払って居るのか、歩行者は見ているものですね。
中には、全く気に留めない人も居るかも知れませんけど、大抵は見ているものです。
施設の監視員さんも、
「あれ? さっき出て行った人、別の車で来なかったっけ」
不審に思って、調べてみると、件の如しである事が判明いたします。
犯行そのものは民事事件ですので、男性は止めていた期間の駐車料金を支払う事で許されました。
スーパーのレジにて
私の良く行くスーパーは、レジ打ちの人が居て、会計は客が行なう。という、所謂、半セルフレジなんですけど、ある日、私の前でレジ打ちを待って居る七十代位のおば様。
レジを待ちながら、荷台の空いているスペースを凝視しております。
こういう人は、ちょっと危ないかも?
そんな気がしておりましたら、他所のレジで会計を済ませた四十代位の女性がそのスペースに駕籠を置いた途端。
「あっ! そこ、私の所!」
おば様は、結構な大声で、四十代女性を注意致します。
注意された女性は、「えっ?」驚いて、振り向きながら少し右に避けますが、
「もっと右!」避けさせたうえに、「全くもう、非常識な!」と憤っておられました。
完全に「正義は自分に有る」という確信的行動。
私でなくても、周囲は「えっ」という感じでしたけど。
言わずもがな、スーパーの荷台なんて、早い者勝ちと言いますか、リザーブなんて出来ませんよね。
おば様、本来の性格が変わって居るのか? 七十代になって道理が理解出来なくなったのか分かりませんけど、「俺は、こんな年寄りには成りたくないな」と思いました。
かくいう私も
最近、物の名前とか、なかなか思い出せない事が増えました。
この間も、サッカーの中盤の名称「ミッドフィルダー」が、なかなか思いだせなくて結構焦りましたね。
「嗚呼、七十代になっても、頭の柔軟性は欲しいな。せめて道理位は解る人間で居たい」
と思う、今日この頃であります。
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