「ハゲ」では怒らなかったのに「髪の毛」で怒る人々 #炎上 #黒柳徹子 #芥川也寸志 #音楽の広場 #ハゲ

「ハゲ」では怒らなかったのに「髪の毛」で怒る人々


えー、ネット時代を迎えまして「なにそれが炎上した」なんてお話はよく聞きますが、ネットのない昔だって、炎上はあったものでございます。

炎上はどこで起こるかわからない

まだ、一般にネットやSNSの無い時代。公共放送NHKで「音楽の広場」という番組をやっておりました。
メインパーソナリティーは、黒柳徹子さんと、芥川龍之介のご子息、音楽家芥川也寸志さん。
その日のお題が「音楽家に纏わる冗談」…んー、みたいな内容。
イギリスの貴族が音楽会を催し、公爵から男爵に至るまでの貴族を招待いたします。
幕が開き、コンサートが始まろうとしたとき、どういう訳か、オーケストラ全員が大爆笑。
ステージ側から見ると、客席に人文字で「ハゲ」(多分bald)と書かれていたそうです。
それも、禿げ頭の人を使って。
英国人らしい洒落の利いたジョークですが、芥川さんが口籠って言った「…ハゲ」発言に対しては、視聴者の反応は何もありません。
所が…それに対する黒柳徹子さんのコメント。
「あははははっ…まあ、髪の毛の不自由な方 (←ここに反応)を使って、人文字を書かれたんですの?」
NHKに「ハゲに対して髪の毛が不自由とは何だ!」抗議の電話が殺到したそうです。
セクハラなんてのも、受け取る側が不愉快に感じるかどうかが問題とされますから、この時も「髪の毛の不自由」という言葉が、髪の毛の不自由な方々にはグサッと来たんでしょうね。
黒柳さんの心遣いが、返って炎上した。という、中々に面白いエピソードでした。
ホント、何が炎上するか分かりませんね。

余談「客席とステージで思い出したエピソードを幾つか」

全てかなり昔のお話です。

小林旭さんの場合

昭和の大スター(今も大スターさんですが)「マイトガイ」こと小林旭さんのステージ。
客席から反社的ガラの悪い男達が、ヤジを飛ばすという演出を試みます。
ヤジを飛ばす男達は、勿論、役者さん。
小林さんは、
「…静かにしてください」
と注意を促し、それでも止めない男達
「他のお客様の迷惑です…止めてください」
に対して、
「やめねーよ」と返すと、「だったら上がってきな! 腕で勝負だぜ!」
ステージに上がってきた、四人の男達を次々と投げ飛ばし、
「…覚えてろ」
という、捨て台詞で男達が捌けて、小林旭さんの歌に入る。
見ての通りのヤラセですが、当日、
「だったら上がってきな! 腕で勝負だぜ!」
という言葉で上がってきた男は五人。一人本物が混ざっていました。
予定外の出来事に、目配せをする小林さんと四人の役者さん。しかし、そこはプロですから、打ち合わせ通りの殺陣を演じます。
さて、残った本物と小林さんは、睨みあいますが、男は四人の男を投げ飛ばした光景を目の当たりにして、ビビったらしく「お…覚えてろ」という、本来役者さんが言う筈だったセリフを残して逃げて行ったそうです。
まあ、小林さんも驚いたでしょうが、計画以上の効果はあったかも知れません。

漫才師「獅子てんや・瀬戸わんや」さんの場合

♪たまごの親じゃ、ぴーよこちゃんじゃ~♪
のフレーズで昭和を沸かせた漫才師、「てんや・わんや」さん。
あるステージで、有髪の「てんや」さんが、一人で登場し、
「えー、相棒の“わんや”が遅れておりまして…しばらく、私ひとりで演らせていただきます」
というと、客席から、
「俺は、わんやを見に来たんだよ」
みたいなヤジが飛びます。
「わんやの方が面白いよ」などのヤジが続き、てんやさんが、それをなだめながら、客席を見ると、ヤジを飛ばしていたのは相方の「わんや」さんだった。
「何だ、お前そこにいたのか」
というオチを作ったんですが、本番当日。
「俺は、わんやを見に来たんだよ」
と言ったとたん、横に座っていた、任侠な人に、
「止めねぇか!」
と叱られます。
しかし、やらないわけには行かないので、わんやさんは、ヤジを続けますが、任侠な人は、
「あちらさん(てんやさん)に失礼だろ!」
と、また恫喝されます。
それでも、続けておりますと、
「てめぇ、表に出ろ」
と言うことになって、とうとう、黙らされ、本当に「獅子てんや」さん一人で演る羽目になって、演出は大失敗に終わったそうです。
因みになんですが、漫才などで「相方」って言いますね。これ、実は上方漫才の用語。東京漫才では「相棒」と言っていました。現在では、全国的に「相方」ですが、東京の古い師匠なんかは未だに「相棒」って言いますね。有名な所では「ビートたけし」さん。今でも言ってらっしゃいます。

矢沢永吉さんの場合

矢沢さんが、まだロックバンド「キャロル」を組んで居た時代。
客席から拳銃を持った男が乱入。
「矢沢ぁ、死ねぇ」
と叫びつつ、数発の発砲。
矢沢さんは、映画で使う血しぶきを上げながら、激しく後ろに倒れる。騒然とする会場。犯人は取り押さえられ、ムックと起き上がる矢沢さん。実はこれ芝居でした。というオチを考えました。
所が、本番当日。
暴漢役の男は、懐から拳銃を出すところを、いち早くワンフ(業界用語でファンのこと)達に見つけられて、ステージに上がる前に取り押さえられてしまいます。
ワンフに、殴られる蹴られるスタッフを見て慌てた矢沢さんは、
「ちょ、ちょっと、待ってくれ…ソイツは、俺のファミリーだ」
と言って助けたらしいですが、それでもワンフさん達は、何の事やら事態が呑み込めなかったそうです。演出は大失敗ですね。

まあ、客席を絡めた演出は、何かしらアクシデントが起きやすいって事なんでしょうね。
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