お、覚えてろ! な話 #捨て台詞 #陳腐 #覚えてろ #河原町 

お、覚えてろ!


覚えてろ
小林旭さんの舞台演出で、チンピラが掃ける時のセリフ「覚えてろ」。
昔のドラマなんかで、良く聞くセリフでしたが、高校位まで、
「果たして、あんな陳腐な事、実際に言うもんなんだろうか?」
と思っておりました。
高校時代
クラスに「S保」という、男が居ました。
短ランにボンタンを着た、当時のツッパリを気取った奴で、デブで短躯。小心者のクセに、無理に強がっている所は、皆から軽蔑されていました。
ある日の昼休み、この「S保」がクラスの「H野」君という、大人しい…というより、真面目な男に急に因縁を吹っ掛けます。
驚いた「H野」君は、
「…ごめん、なんか、気に障ったんなら謝るし」
と言うのですが、「S保」は、
「ならん…けぇ来い
と言って「H野」君をベランダ廊下の方へ呼びつけます。
本当の所、「H野」君に落ち度が有った訳ではなく、「勝てそう」と思った相手に、「S保」は、因縁を吹っ掛けて、強さ? を誇示したいだけだったのでしょう。
所が、ベランダ迄の、短い間に「H野」君も覚悟を決めたようで、外に出た途端、「H野」君の猛ラッシュ。
メチャクチャにパンチやキックを繰り出します。「H野」君も元々喧嘩をするようなタイプでは無いので、パンチも蹴りも威力を感じませんでしたが、殴られ蹴られる度に、
「あーっ! あーっ!」
という、滑稽なほど情けない「S保」の悲鳴が響きます。
最初「S保」の方を、止めようとしていた私たちでしたが、思わぬ展開に逆に慌てて、
「ひ、H野。止めたれ、止めたれ」
引き離すと、助かった、というような表情の「S保」の言った言葉が、
「お…覚えとれ」
でした。
見ている方が恥ずかしくなるほどの、負け惜しみに、皆、大笑いしてしまいましたが、
「覚えてろ。なんて、陳腐なセリフ。本当に言う奴、居るんだな」と、思ったものでした。
クリスマスの夜に
若気の至り…とはいえ、決して褒められた話ではありません。
学生時代に所属していたサークル、そのクリスマスパーティー後のお話です。
女の子達を帰した後、男ばかり十人余りで、深夜の河原町筋を北上していると、親友の一人「I砂」という男が、パンチパーマのチンピラと、肩が触れた触れないで、喧嘩になりそうになりました。
「何や? 何や?」
私たちも酔っぱらっていたので、チンピラを囲んだのですが、一人と思って居たチンピラから少し離れた所に、五人ばかりの仲間が居て、これがまた、
「何や? 何や?」
と絡んできました。
「I砂」に絡んでいたチンピラは、急に勢い付いて、
「人数見てビビンなよ」
と凄んで来ましたが、こっちも酔っていたからでしょう。
「誰が、ビビッてんねん!」
双方、殴り合いと言うより、掴み合いになります。
直ぐに、「М野」さんという、身長185センチもある先輩が、
「皆、止めなさい」
と割って入ります。
「М野」先輩は、当時の格闘漫画に出て来る「アントニオ猪木」さん像に感化されていた人だったので、なんか、こういう揉め事の時は、丁寧な言葉遣いになる人でした。
「なんや! お前が、こいつらの頭か?」
学生相手と思って勢い付くチンピラに、「М野」先輩は、静かに、
「…来なさい」
と構えを取ります。
チンピラたちは、その「威」に打たれた。というより、勢いを挫かれた感じになって、なんか固まってしまいましたが、「来ぬは、そちらの勝手」みたいな事を言って、「М野」先輩は、最初に「I砂」に絡んで来たチンピラを、某かの技で捩じ上げます。
頭ひとつ分はデカい大男にねじ上げられて、「あ、痛てて…」横座りに崩れ落ちるチンピラ。
「М野」先輩の事が、ちょっと怖かったのかもしれません。
先輩を見上げると、
「お…覚えとれ」
捨て台詞を残し、他の仲間と逃げ出してしまいました。
この時も、「あ…やっぱ、いう奴は言うんやなぁ」と、変に感心したものでした。
「勝った、勝った」
はしゃいでる私たちの中で、一人、「I砂」だけが蹲っていたので、
「I砂…どないしたんや?」
顔を上げさせると、いつの間にか殴られていた「I砂」は、顔面血だらけになっていました。
救急車を呼んで、付き添いで私も乗る羽目になりましたが、
「救急車は、夏に、柏原(仮名)の件で乗ったばっかりやがな」
と思って居ました。
病院で、治療を受けた「I砂」は、目の上を少し切っただけでしたが、顔は細かい血管が集中しているので、ちょっと切っただけでも、大量出血に見えるそうです。
まあ、でも、「I砂」も、酔っていたとは言え、わざとチンピラの肩にぶつかった感はありましたね。
私たちも、酔っていたとは言え、もし、相手が刃物でも持っていたら、笑い話では済まなくなっていたでしょう。

「覚えてろ」
この陳腐なセリフ。恐怖や恥ずかしさのパニックで、つい、口を突いて出てくるのかもしれませんが、当時のテレビドラマ等の影響も、結構働いていたかも知れませんね。
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