昭和の残り香
鉄道の一部が、午前十時以降運休になります。
朝から、そんなニュースが流れていました。
台風、関東に接近ですからね。当り前と言えば当り前なんですが…人を都心まで運んでおいて「帰れませんよ」的な判断ってどうなんでしょう?
だったら、終日運休の方が、会社も思い切って「明日は休業」に踏み切れるだろうに、と思います。
午前七時頃。窓の外を見ると、意外に風も無くてちょっと晴れ間も覗いている。(台風にありがちな一時的晴天)
ワイシャツ姿のサラリーマンが何人か、駅に向かって忙しなく歩いているのが見えました。
正午近くから雨を伴う暴風になり、深夜零時まで続くという予報です。
つまり、駅に向かう彼らは、帰って来るつもりは無い、という覚悟なんですね。
私が、現役の編集マンだった頃も、台風の日等、家に帰らず泊まり込んで働いたものですが「今夜は帰れない」を承知で出勤する風景は、なんか昭和の残り香の様な気が致します。
懐かしいような、愚かしいような…労働って生活の為の物ですが、その生活を危険に晒して迄働くなんて、本末転倒というか、日本人って凄いですね。
SNSの呟きを見ましたら「台風接近なのに電車メッチャ混んでいる」等の投稿もありました。
この、日本人の「仕事こそ尊い」というか、労働対して信仰に近い感覚は、ある意味嫌いではありません。
「だからこそ日本人」
とも思のですが、ちょっと怖い面もあります。
猛暑日でも、東南アジア諸国のように「屋外での労働禁止」ではなく、「水分を小まめに摂り、適度な休息を取るなどして働きましょう」的な所があります。
今回の台風にしても、首都圏直撃だったら、多分風速60メートルの暴風で、壊滅的な打撃を受けたでしょうに、それでも、なんとなく「気を付けて出社してね」的な感覚は、この年に成るとなんか微妙で、怖さも感じます。
日本人の労働信仰は、捨てがたいとも思いつつ、一方で、「命を危機に晒してまでやる事なのだろうか」という思いは、今の年齢ではありますね。
「仕事は大切に、でも命も大切に」という感覚で働きたいものです。
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