くだんのはは #小松左京 #件

くだんのはは

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「くだん」とは「人」に「牛」と書く

「くだんのはは」
なんか、占い師みたいなタイトルですが「九段の母」ではありません。
物語としては占い師…とは、ちょっと違います。「件」くだんという妖怪のお話。
第二次大戦末期の兵庫県芦屋市、空襲で家を焼かれた少年と父は、かつて家政婦として雇っていた老女「お咲きさん」が、住み込みで働いているというおやしきの離れでお世話になり始める。(作品中の屋敷は一貫して「邸」の方の字が使われている)
邸は、色白の婦人とお咲さん以外に人気は無く、父は、会社の疎開の手続きと称して、その実、愛人宅に転げ込み、邸は婦人とお咲さんと、少年の三人になる。戦争が激化し、食糧難が続く中、お邸だけは、何不自由ない暮らしが続き、人々が空襲で逃げ惑う中、
「ここは、空襲されることは無い」
という、婦人。
ある時、母屋の二階から、女の子の泣き声がする事に気づく少年。二階には、誰かが居る。
お咲さんが、何か食べ物を二階に運び、帰りには、血と膿の付いた包帯の入ったタライを持ち帰ってくる光景を目撃してしまう。
「ぼっちゃん、二階には決して近づいてはなりません」
お咲さんも詳しい事は知らないが、お邸の娘さんは酷い病のようであった。
婦人伝に病気の娘の予言を聞かされる少年。広島の原爆を予言し、戦争も終わる。
愛国心盛んな少年は、娘の変な予言のせいだと思い、二階に駆け上がる…そこで、少年の見たものは…

この作品は、高校生頃に読んだ覚えがあり、たまたま、無料版があったので懐かしくて、読み返してみました。初めて読んだ時は、私も少年だったので、ひどく引き込まれたものですが、年取ったからですかね。今も、面白いとは思いますが、まあ、そこそこに感じます。
因みに「件」という妖怪を見た者が、他人のその話をすると、身内に「件」が生れるといわれています。
小松左京という作家】
小松左京さんは「日本沈没」「復活の日」「さよならジュピター」「首都消失」等、多くのSF作品を残されています。
コロナ騒動の始まりの頃「復活の日」で描かれている、ウイルスによる感染症の広がり方が、コロナ拡大と似ていて、ネット上では「奇妙な一致」と騒がれた事もありましたが、小松左京さんは専門家も舌を巻くほどに、医学、科学には精通しておられました。
専門知識に基づいて「感染症はこうして、拡大して行くんだよ」(細菌兵器であろうとなかろうと)と描かれていたので、決して「奇妙な一致」ではないんですが、不安を煽る様なネット情報には関心できませんでした。
「くだんのはは」は、こちらに収録されています。↓

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)
霧が晴れた時 自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫) 小松左京 著
子育てヒロシ的評価=★★★
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