今日は全国的に雨なので
現場の巡回は、基本ありません。
なので、こそこそと、ブログを更新しています。
困ったさん
マンションで、給水関係の工事のあった日の事。
エントランスを通りかかると、理事長を交えて、管理人さんと居住者のFさんが何やら揉めていました。
目の合った理事長さんに挨拶だけして、そのまま出かけたんですが、帰ってきて、理事長さんから、「Fさんにも困ったもんです」と聞かされました。
給水工事に関しては、事前に掲示されていましたし、チラシも全戸に投函されていて、周知の工事なんですが、Fさんは「給湯器を使おうとしたらエラーになった」と、クレームを付けてきたそうです。
事前通知では「断水の時間帯は、給湯器等稼働させないで下さい。」とあったのに、Fさんはうっかり使ってしまい、機械の安全装置が働いてエラーになってしまった。
最初は、マニュアルを見ながら、自分で復旧を試みたが出来ない。
どうしようも無くなって「そもそも、給水工事なんてやるから、こんな事になるんだ」的に腹を立てて、給湯器のマニュアルを片手に、管理室にクレームを付けに来たといいます。
現・理事長は大変な働き者なので、立ち会わなくても良いのに、管理人さんと一緒にいたのが、今回は幸い。
「必要な工事だし、事前通達してますよ」的に説得していた横を私が通りかったようでした。
結局、工事の業者さんにFさん宅に行ってもらい、給湯器を復旧したそうですが、復旧作業は二つのボタンを同時に長押しするだけだったそうです。
自分のミスで、給湯器のエラーを出し、復旧できなかったから「工事なんかするからこんなことになる」的なクレーム。
Fさんとは
七十代のおじいちゃんです。
つい何年か前まで、そこそこの企業の重役さんだったという人。
確かに、以前は、黒塗りの大きな車で送り迎えされている所を何度か見たことがあります。
元・重役さんだから、傲慢で横柄なのかといえば、普段は本当に腰の低い方、キチンと挨拶もされる方ではあります。
しかし、時々、非常識と言いますか「なんで、この段になって?」という所で騒ぎ出したりします。以前も、通信系の工事で、やはり事前通知があったにも関わらず、「ネットが使えなくなった」と騒ぎ始めた事があったそうで「私はこの工事に賛成してない」と騒いだそうですし、今回の給水工事でも、捨て台詞の様に「私みたいな苦情を言ってくる方は、これから増えると思いますよ」と言ったそうです。
しかし、あれから何日経っても、Fさん以外にクレームを付けて来た御家庭はないと聞きました。
他、「●号室の方と親しいんだが、電話番号を教えてくれ」と、理事長&管理人に言ってきた事もあったそうです。
幾ら親しいからって、個人情報だし、本人に無断で教える訳には行かない。という、昨今の常識が無い。「親しいんなら、直接聞けばよいのに」と理事長さんは言ってました。…ごもっともな事です。あと、マンション敷地内に勝手に植物を植えて「私のだ」と主張されたりしたそうです。勝手に植物を植えてはならないし、行為として「捨てた」と同じなので、権利を主張する事は出来ない。という事も知らない。
私の中で…
好々爺と思っていたFさんの見方が変わってきたのは、確かです。
「全ての七十代はそうだ」という訳ではありませんが、彼らが社会の中心だった二十年位前まで、仕事が解ってない、出来ないのに役職に就ている人は多かった気がします。
ゴルフ、麻雀、飲み会等、所謂「アフター」で出世したような輩は確かに居ました。
Fさんも、あの無軌道さを見ていると、そのパターンだったのかな? 思ってしまいます。
昔
まだ、私が、現役の編集マンだった頃。ある、大手出版社の編集長が心を病んで、うつ病になり、一年間の休職の後、とうとう退職してしまった事がありました。
その編集長は「H」さんと言いました。映画「ゴッド・ファーザー」に出て来る、殺し屋「ルカ・ブラジ」の様な強面で、大男でしたが、優しいし豪快で明るい性格。とても「うつ病」になりそうな雰囲気はありませんでした。
当時は、急速に出版物が売れなくなった時代で、Hさんは「兎に角、売り上げを伸ばせ」と、編集人「K」に圧を掛けられ、考えうる工夫をこらして、出版不況だった中、売り上げを伸ばしました。しかし、その功績はKだけが持って行きます。
K氏は、命令しただけ。
会社の判断としては「駄々をこねたにせよ、Kが業績を伸ばした事に変りない」という所だったのでしょうけど、これでは、後に、心を病んで辞めて行ったHさんが、浮かばれないではないか、という気持ちでした。
このKという男
編集長のHさんとは対照的に、一見、優男で物腰も柔らかそうだったんですが、「雑誌」の作り方が根本的に解って居ない人でした。たまに、迷惑にも編集作業に参加する事もありましたが、原稿が無くなったと大騒ぎ、部下から下請けにまで「無くなったでは済まんだろ」と怒鳴り散らす。
結局、自分が出し忘れていて机の中にありました…という、オチなんですが、原稿が見つかった時のKの言いぐさが「そんな事、言ってても仕方ないんでぇ…」と、自分をホロ。「迷惑を掛けたんだから、先ずは、ごめんなさいだろ」と皆思っていました。まがりなりにも、編集マンの端くれなのに、校正記号もまともに読み書き出来ない人。(因みに、校正記号の書けない編集マンは最近多いです)
昔は、何もわかって居ない上司が、駄々を捏ねて、下の者が工夫を凝らして仕事を具現化するケースは多かった気がします。
今回、Fさんの騒動を見て、なんだか、思い出してしまいました。
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